検査


(Q1)CTとはどんな検査ですか?エックス線を使うのでしょうか?

(Q2)MRIという検査について教えて下さい。




(Q1)CTとはどんな検査ですか?エックス線を使うのでしょうか?

(A1)CTはコンピュータ断層法 (computed tomography)の略です。文字どおり、コンピュータを使って身体の輪切り(断面=断層面)をみる装置です。CTではエックス線を使います。ただし、いままでのエックス線撮影と違い、エックス線の出口に細長い穴の開いた鉛の板を置き、エックス線を薄い扇状に絞り込みます.ですから目的の断層面以外には殆どエックス線がかかりません。さて、このようにして身体を通り抜けてきたエックス線は、検出器という装置にあたり、電気信号に変えられます。実際のCT装置では、エックス線源(エックス線管球)と検出器が向き合った形でおかれており、それが身体の回りをぐるっと回りながら信号をとっていきます(これをスキャンと言います)。このようにして得られた信号から、身体の断面の画像が計算により作り出されるのです。得られた画像は,白黒の程度であらわされます。画像の上では、骨のようにエックス線が通りにくいところは白く、空気のように通りやすいところは黒く現れます。
 CT検査では、一つの面を検査するのに数秒かかります。また、最近では、断面を一枚ずつ検査するのではなく、目的の範囲をらせん状に一回のスキャンで検査する方式も実用化されました(ヘリカルスキャンといいます)。この方法ですと今までの方式よりもずっと短時間で検査を終えることが出来ます。CTは全身どの部位でも精密な断層面をとることができます。また、MRIと比べて検査時間が短いため、外傷など緊急の場合でもすばやく検査できるという特徴があります。CTはたくさんある画像診断法のなかでも、いまや中心的な検査となっています。 頭部での使い方は次回紹介します。
 前回機械的なことは説明しました。今回は脳神経外科での使い方を説明します。頭では横に切った断面図を見ます。MRIのなかった頃はいろんな方向の断面を切りましたが、今はMRIの方が断然良いので、そういう事はしません。CTスキャンは脳の断面図を見ますので、分かるのは形の異常です。例えばガンが出来ているとか、血管が詰まっているとか、血液がたまっているとかが分かります。では、どんなことが分からないでしょう。一つには脳の働きは分かりません。例えば「物忘れの程度」とか「ボケの程度」は分かりません。よくCTを説明しようとすると、「ボケてませんか」と聞かれることがありますが、それは分からない事なのです。この他に、血液の流れが分かりません。血管が詰まれば脳梗塞と言い、CTでは黒く見えますが、詰まる前の血液の流れの悪くなった状態は分からないのです。血液の流れが悪いとめまいがする事もありますが、これも分かりません。さらに心の中も映らないのです。イライラしていても、ニコニコしていても同じに映ります。頭痛の原因の半分はストレスですが、残念ながらCTではこのストレスが見えないのです。 さて、CTスキャンで見える病気の説明をします。血管から出た血液は白く映ります。脳出血もくも膜下出血も白く見えます。脳梗塞は黒く映ります。ですからその区別はすぐに出来ます。脳腫瘍はどうでしょう。これは白く見えるものから、黒く見えるものまで、種類によりいろいろ違ってきます。脳腫瘍に伴う脳浮腫(脳のはれ)は黒く映ります。最近開発されたヘリカルCTを使うと脳血管を良く描く事が出来ます。造影剤は使いますが、脳動脈瘤や脳腫瘍の診断などに役立っています。CTスキャンはMRIと共に脳神経外科領域では優れた診断機器なのです。
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(Q2)MRIという検査について教えて下さい。

(A1)MRIとはとはMagnetic Resonance Imagingの頭文字をとったもので磁気共鳴診断装置のことです。大きな磁石のN極とS極の間に人間を寝かせます。このような状態で特定の周波数(振動数)を持った電磁波を照射すると、人間の体を構成している多数の元素のうち特定の元素だけが共鳴して信号を発生します。この信号を集めて人体の断面を画像としたものがMRIです。電磁波の周波数を変えることによって様々な元素からの信号を得ることができますが、病院で利用しているのはおもに水素の信号です。ちょっと難しいですね。磁石や電磁波の影響はないかとよく心配されますが、人間の体の中を映し出すための磁石の強さは肩こりなどで皮膚に貼る磁石と同じか、その一〇倍程度で、心配ありません。また、電磁波というとなにか恐ろしいように聞こえますが、無線やラジオ、テレビの電波と同じ種類で、磁石と同様に人体に悪い影響を与えるものではありません。ただし、心臓のペースメーカーを装着している人の場合には影響が懸念されますのでMRI検査はできません。また、テレホンカードなどの磁気カードは使えなくなってしまうことがあり、鉄などの強磁性体は磁石に引っ張られますから、検査室に持ち込まないようにしてください。 
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